五斗長集落の裏山をのぼる野性味あふれる森の中に現代アート作品を設置、
“歩き巡る美術館” “森とともに移ろう美術館”として活用していこうというアートプロジェクトです。
地域、行政、NPOなど関係団体の協働のもと、
大分県・別府市の芸術祭などで実績ある芹沢高志と淡路島在住の映像作家、ヴェルナー・ペンツェルの二者を
総合ディレクターに据え、毎年、国内外より芸術家を誘致し
作品を制作・設置しながら近い将来のオープンに向けて準備をすすめてきました。
私たちがいつ、どこから歩きだしたのか知らないが、
とにかく、私たちは歩きはじめ、現在のように、
この地球という惑星の至る所に広がっていった。
その想像を絶する時間、歩く人々の歓びや哀しみを想うとき、
私は歩行が、私たちの精神の形成に
決定的なまでの役割を演じたのではないかと想像する。
歩くことは、今も、私たちが自らの環境に関わり合う、
もっとも直接的な行為であると信じている。
ならば、再び歩くことそのものを、私たちの実存的体験、
さらには美的体験と直結させることはできないだろうか?
五斗長ウォーキングミュージアムは、その場所に住む人々と
アーティストが、ともに信頼し協働して建設する、「館」ではない美術館、
「道」あるいはプロセスとしての美術館に成りたいと思う。
2010年、五斗長地域の皆様、兵庫県、
そして淡路島アートセンター連携のもと、
五斗長ウォーキングミュージアム・プロジェクトは開始されました。
最初の2年間、私たちは古い森の自然の奇跡と、
国内外の現代アート作品の展示とが融合された、
他に類を見ない「道としての美術館」を創造するための
調査と計画を実施してきました。
現在「新池」と「お不動さん」の傍にある、
日本とドイツのアーティストたちにより制作された作品群は、
五斗長ウォーキングミュージアムが
これから目指そうとする始まりのささやかな姿です。
今後、常隆寺へ続く古道の整備や、
小原池周辺の新しいアートパスの設置を検討していきます。
自然と人類史の尊敬に満ちた共生という、
この新たなるヴィジョンにインスパイアされた空間を創造するため、
多くのアーティストが五斗長に作品を捧げてくれることでしょう。
今後も様々な方のご支援をいただきながら本事業を継続し、
近い将来、一般公開できることを願います。
あらゆる年齢の人々。
そこに暮らす人々も、はるばる五斗長を訪れる人々も。 芸術愛好家や、
淡路島の森をお子さんとともに歩くことを望むご家族連れ……
誰もがここを歩きながら、見つめ、耳をすまし、嗅ぎ、想像し、
そして感嘆することを歓迎し、皆さんをご招待したいと願っています。